データ基盤の実像
AIの成果を左右するデータ基盤は、いまどの程度整っているのか。結論から言えば、AIへの熱量に対して土台は明らかに置き去りだ。
データ基盤を全社統合済み
データカタログ未着手・不明
ボトルネックは人材不足
データ基盤の統合状況(Q27)
全社で統合済みは 13.9% にとどまり、最多は「一部部門・一部システム」42.9%。「未着手」も 20.1% ある。AI導入が PoC 以上で 79.4% に達するのと比べると、土台の整備は大きく出遅れている。
データカタログ(Q30)
データの所在や意味を管理するカタログは、「未着手」28.2%と「分からない」19.3% を合わせて 47.5% が事実上未整備。AIに正しいデータを供給する仕組みが、半数近くで欠けている。
どこにデータを貯めているか:DWH/基盤製品(Q28・複数選択)
注目すべきは最上位の2つが「分からない」23.6%・「利用していない」20.9%で、合わせて 44.5%。クラウドDWH(Snowflake/BigQuery/Databricks 等)の利用はいずれも1割前後で、モダンなデータ基盤の普及はまだこれからの段階にある。
運用体制(Q32)
専任チームによる運用は 30.8% にとどまり、「明確な運用体制が決まっていない」20.9%・分散型 16.9% が続く。基盤を作っても、継続的に回す体制が整っていない企業が目立つ。
基盤運用のボトルネック作業(Q35・最大3つ)
「データ品質の継続的チェック・修復」35.9%、「個人情報・機密情報の検知・除去」31.9%、「データソースの追加・接続先の変更対応」27.1% ——いずれも一度構築すれば完了するものではなく、人が継続的に対応し続けることを求められる性質の作業が上位を占める。なお、こうした運用にかかる月次工数を「分からない」とした回答は 56.8% にのぼる(→ 調査概要 参照)。
その運用を支える人材は足りているか(Q37・複数選択)
約4割の企業で知識・スキルの属人化(39.4%)が生じ、約3割は専任者を置かない兼務体制(31.9%)で対応している。「必要な人数・スキルを確保できている」と回答したのは 9.4% にすぎない。継続的な運用を人手だけで支え続けることには、構造的な限界が見えている。
何がボトルネックか(Q24・最大3つ)
最大の壁は「データ・AI人材の不足」42.4%。これに「データの分散・サイロ化」28.2%、「スキル・リテラシー不足」26.0%、「データ品質・整合性」24.9% が続く。人材・データ・体制という、いずれも一朝一夕には埋まらない土台の課題が並ぶ。
期待・導入・投資が過熱する一方で、それを支える基盤・カタログ・体制・人材はことごとく置き去り——この非対称が、成果が一部の企業にしか出ていない構造の正体だ。